
理論
身体の反応は、
局所だけでは決まらない
SBNRでは身体の反応を、多因子的に捉え、
全体の安全性評価を中枢とした競合モデルと理解します。


3つの防御システム

運動防御
身体を守るための運動パターンの調整
脅威や不安定さを感知すると、身体は筋緊張・姿勢・動きのパターンを変化させ、負荷や衝撃から身を守ります。
筋緊張
姿勢制御
運動パターン
負荷分散

平衡防御
安定とバランスを保つための調整
姿勢や重心、視覚、前底感覚、体性感覚の統合により、転倒や崩れを防ぎ、安定した状態を維持します。
姿勢安定
重心制御
感覚統合
平衡反応

自律神経防御
内的環境の安全を守るための調整
自律神経系を通じて心拍・呼吸・消化・体温などを調整し、生命維持と内的な安全を確保します。
心拍・呼吸
消化・代謝
体温調整
ストレス反応
🛈 これらの3つの防御システムは常に相互に連携し、状況に応じて優先順位や強度を変えながら、身体の安全を守っています。
身体は「安全か・危険か」を評価している
私たちの身体には、常にさまざまな情報が入っています。
目から入る情報。
身体の傾きや重力の情報。
筋肉や関節から伝わる情報。
呼吸や心拍、内臓から伝わる情報。
さらに、過去の経験や記憶、その場の環境なども身体の反応に影響します。
脳・神経系は、こうした情報を統合しながら、
「今の状態は安全か」
「身体を守る必要があるか」
を絶えず評価しています。
SBNRでは、この働きを「安全性評価」という視点から捉えます。
身体に現れる緊張や動きの制限も、単なる異常ではなく、その時点で身体が安全を守ろうとした結果である可能性があります。
安全性評価は、さまざまな情報からつくられる
身体の安全性評価は、一つの感覚だけで決まるものではありません。
視覚
周囲の環境や位置、動きなどを捉える情報
前庭感覚
頭の傾きや加速度、重力などを捉える情報
体性感覚
筋肉・関節・皮膚などから伝わる身体の位置や動きの情報
内受容感覚
呼吸・心拍・内臓など、身体内部から伝わる情報
経験と予測
過去の経験や記憶をもとに、これから起こることを予測する情報
状況
その場の状況や人との関係など、身体を取り巻く情報
身体はネットワークとして反応する
身体の各部位は、独立して働いているわけではありません。
視覚、前庭感覚、体性感覚、呼吸、筋緊張、姿勢、運動などは互いに影響し合い、一つのネットワークとして身体の状態をつくっています。
そのため、ある場所への入力が、離れた場所の反応を変えることがあります。
肩への入力によって、膝の動きが変わる。
呼吸が変わることで、首の緊張が変化する。

こうした変化を、あらかじめ決められた「つながり」に当てはめるのではありません。
どこへの入力によって、どこが変化したのか。
実際に起きた変化を手がかりに、その人の身体がどのようなネットワークとして働いているのかを考えていきます。
これが、SBNRにおける「ネットワーク」の考え方です。
身体は「今」だけでなく「これから」を予測する
私たちの身体は、今入っている感覚情報だけをもとに反応しているわけではありません。
過去の経験や記憶をもとに、「これから何が起こりそうか」を予測しながら、身体の反応を調整しています。
たとえば、以前ある動作で強い痛みを経験すると、同じような動きをしようとしただけで、実際に痛みが生じる前から筋肉が緊張したり、動きを小さくしたりすることがあります。
これは身体の間違いではありません。
危険が起きてから対処するよりも、危険を予測してあらかじめ身体を守る方が、生存にとって有利だからです。
SBNRでは、このように予測された危険に対して生じる防御を「予測防御」と捉えます。
しかし、現在は安全であっても、過去の経験にもとづく予測が更新されなければ、防御反応が続くことがあります。
その結果、痛みがなくても身体を固める、特定の動作を避ける、必要以上に力が入るなどの反応が残ることがあります。
こうした状態では、単に筋肉を緩めるだけでなく、身体が「この動きは安全かもしれない」と再評価できることが重要になります。